top of page
執筆者の写真mayurransan

千葉雅也『勉強の哲学 来たるべきバカのために』(文藝春秋)


学問の部屋です。春が来ました。何か新しいことを始めたいと思われている方におすすめの1冊です。


勉強が抜群にできることを"キモい"と若い人たちが形容するのをなんどか耳にしたことがあります。


「勉強によって自由になるとは、キモい人になることである。」


と著者である哲学者・千葉雅也さんは言います。何から自由になるのか。それはたまたま自分が居合わせた「環境のノリ」からです。


私たちは慣れ親しんだその場所特有の言葉づかいを、しばしばほとんど意識せずに使っています。そこから外れると、「ノリが悪い」(=キモい)ということになります。


しかしそれは、ほんとうに私たちが使いたいと思っている言葉なのでしょうか?

どこかでよく耳にするようなフレーズを自動的に使っている自分に違和感をおぼえることはないでしょうか?


「自分は、環境のノリに、無意識的なレベルで乗っ取られている。」


自由になるとは、新たな自分に"変身"することでもあります。

自由になりたいと望むなら、ノリが悪くなる、キモくなる勇気が必要であるようです。


とはいえ本書は、キモくなれ、とだけ言っているわけではありません。


「単純にバカなノリ。みんなでワイワイやれる。」(第一段階)

「いったん、昔の自分がいなくなるという試練を通過する。」(第二段階)


そして、「しかしその先で、来たるべきバカに変身する。」(第三段階)


「来たるべきバカ」とは、「新たな意味でのノリを獲得する段階」だそうです。


では「来たるべきバカ」になるための方法とは?

キーワードは「アイロニー=ツッコミ」、「ユーモア=ボケ」です。

少しでも興味を惹かれた方は、ぜひお手にとってお読みください。


勉強の見方が変わります。これまで深く勉強をされてきた方も、勉強の原理がさらに明確になるはず。


それだけでなく、ふだん何気なく使っている言葉がまったく自分のものではなかった(!)という驚きと不自由さに目を見開かされることうけあいです。


0件のコメント

Comments


bottom of page