学問の部屋です。
なにより、和田誠さんのすばらしいデザイン感覚を楽しめる絵本です。
ページをめくるのがもったいないくらい。
ある夜、月が大好きな男が、空に赤いはしごをかけて月を持ち帰ってしまいます。
男は箱に月を入れて大切にしますが、それをこっそり見ていた泥棒が、箱を盗み出してしまいます。
ところで、この絵本には、話の展開の合間に、月はどうして満ち欠けするのか、月はどうやってできたのか、月はそれぞれの国でどう呼ばれているのか、また月にどんな図柄を見ているのかなど、月に関する百科事典的な解説が挿入されます。
でもこのお話の月は、盗まれたところで、満ち欠けを繰り返します。ついさっきされたばかりの科学的解説とは別のふるまいを平気でするところが面白い。
泥棒が盗んだ月はその時、たまたま新月でした。つまり箱の中の月は空っぽ、に見えたのです。泥棒はがっかりして、月を捨てていってしまいます。
月は人類にとって貴重品。
これがきっかけで、国を巻き込んだ事件にまで発展してします。さて月はまた空に帰れるのでしょうか。
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