top of page
執筆者の写真mayurransan

『だいちゃんとうみ』太田大八(福音館書店)


学問の部屋です。


太田大八さんはさまざまな絵本に挿絵を描いていますが、本作は文章も太田さんが書いている数少ない絵本です。


太田さんは1918年、長崎県生まれ。

本作に登場する「だいちゃん」という少年は、おそらく大八さんのことでしょう。


だいちゃんは、夏休みにいとこのこうちゃんの家に遊びにいきます。

裏表紙に地図が付されていますが、佐世保に近い、大崎半島の付け根にある集落です。


だいちゃんたちは、近くの大村湾で、船を出して魚を獲ったり遊んだりします。

四方を陸に囲まれた内海で、水面はおそらく凪いでとても穏やかなのだと思います。


本作ではいったいどれだけの種類の青色が使われているのでしょうか。

とにかく水の表現がほんとうにすばらしいです。

水面に映る光が、あるいは時刻とともに表情を変える水が、小川と海が、赤や黄色や緑とともに豊かに描き分けられます。


絵のクライマックスとでもいうべきページは、夕日を照り返す大村湾。光のスペクトルが水面を淡い虹色に染めます。

0件のコメント

Comments


bottom of page