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執筆者の写真mayurransan

『憂鬱と官能を教えた学校』菊地成孔+大谷能生(河出書房新社)


学問の部屋です。


副題には「【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史」とあります。


ジャズ・ミュージシャンの菊地成孔さんが相棒の大谷能生さんをピンチヒッターとして行った、音楽美学講義です。


上記の「バークリーメソッド」とは、アメリカ合衆国のバークリー音楽院で教えられている音楽理論のことです。


菊地成孔さん、大谷能生さんともにたいへん博識で、本書ではさまざまな音源を紹介しながら、ジャズ、ロック、ブラックミュージック、ヒップホップなどの変遷をたどりつつ、


コードネーム、調性、コード進行からモード、ポリリズムまでをキーボードをつかって概観していきます。


文庫では上下2巻ありますが、話し言葉で、しかも抽象的な理論だけでなく、多かれ少なかれなじみのある商業音楽の分析などをまじえつつ展開していくため、とてもリーダブルです。


クラシック音楽方面から音楽理論、楽典を学んだ、あるいは学ぼうとして挫折した方にもおすすめです。楽典では和音の表記がたいへん煩雑で、難しい漢字の用語が頻出します。


それに対して本書での解説は(というかバークリーメソッドは)コードネームはよりシンプルに見やすい表記で、しかもキーがあっちやこっちに飛んだりしないので、体系立てて理解するには最適だと思います。


音楽理論入門の1冊としていかがでしょうか。本書で紹介される音源をSpotifyやApple Musicのプレイリストに入れて読めば、より楽しめるかもしれません。


【菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラール】


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