学問の部屋です。
今回はダニエル・シュミット監督(1941-2006)の『トスカの接吻』をご紹介します。
彼はオペラの演出も手がけた映画監督です。彼の作品であれば何でも、機会があれば観たいと思っていますが、なかなかその機会が訪れてくれません。
さて、作曲家のヴェルディが1902年、オペラ歌手をはじめとする音楽家たちのために養老院(@ミラノ)を作ったことはご存知でしょうか。
私も本作で初めて知りました。
このドキュメンタリーでは、そんな「ヴェルディの家」で老年を過ごす音楽家たちの生活と人間模様が描かれます。
歌手のサラ・スクデーリ、ジュゼッペ・マキナーニ、レオニーザ・ベロンなどなどが登場。
リクエストに応じてか、廊下などで彼/彼女らが歌い出すと、歩くこともままならない老歌手たちですが、涸れた泉から突如水が湧き出したように、みずみずしい歌声がにわかにその場を制圧します。
彼/彼女らが語らなくとも(じっさいは思い出を語りまくりますが)、その声を聞くだけで往年の活躍ぶりを感得できます。
彼/彼女らにとっては、ヴェルディの家もまた、立派な舞台、なのです。
本作で流れる音楽はもちろん、ヴェルディ。そしてプッチーニ、ドニゼッティ……
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