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執筆者の写真mayurransan

阪田知樹ピアノ・リサイタル@宗次ホール


学問の部屋です。


今をときめくピアニスト、阪田知樹さんのリサイタルに行ってきました。


2023年内だけで20曲のピアノ・コンチェルトを舞台で演奏されるとのこと。

うち、東京ではラフマニノフのコンチェルト4曲を一挙に演奏されるそうで、まさに超人的なスケジュール。


さて、プログラムは、


①ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」



②リスト:巡礼の年 第2年 イタリア S161/R10bより

第4曲 ペトラルカのソネット第47番

第5曲 ペトラルカのソネット第104番

第6曲 ペトラルカのソネット第123番


③ベートーヴェン/リスト編曲:交響曲第5番「運命」S464/R128

(リスト編曲のベートーヴェンの交響曲を全曲ピアノソロで演奏するプロジェクトをなさっているそうです)


アンコールは、ヴェルディ/リストの「リゴレット・パラフレーズ」、ラフマニノフの「楽興の時 第3番」、ガーシュイン「魅惑のリズム」


でした。


「悲愴」はリサイタルでちゃんと演奏するのは小学生の時以来とのこと。

この曲は何というか、うんうんうなり声が聞こえてきそうな曲という勝手な印象を持っているのですが、


第1楽章もわりと自由に、歌うように演奏されていたのが斬新(第2楽章は歌うのが抜群に巧みな彼にはお手のもの)。古典のカチッとした印象ではなく、流れるようなロマンティックなしあがりになってました。


2つめのリストになると、会場全体の空気が魔法にかかったみたいにさっと変化するのがはっきりと感じられました。

阪田さんご本人も好きな曲だとおっしゃっていましたが、楽曲と一体になったかのような稀有な演奏で、とくに、聞こえるか聞こえないかの美しいピアニシモにすっかり魅了されてしまいました。


後半の「運命」は、演奏じたい素人目にもかなりたいへんそうな編曲。とはいえすさまじいテクニックでほとんど完璧にコントロールされていたのが圧巻でした。


おそらくホールの造りが理由なのでしょうが、1階の中央あたりに座っていると空気の壁があるように少し聞こえました(こんどは2階席を試してみたくなりました)が、この曲になるとその壁さえ音が突き破ってくるほどの大迫力。

にもかかわらず、一方でこういう音の極端に多い曲を繊細に歌い分けるのがほんとうに巧みなピアニストだと改めて感じました。

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